ナスに似ていて役に立たず、それでいて大変な繁殖力。悪いナスビ!?

ナス科ナス属の、初夏~秋の野草。

そう、あの、ナス! 茄子! 茹でても焼いても、塩でもお醤油でもトマトソースでも美味しい、あの夏の野菜の茄子!

……の仲間にもかかわらず、食べられるわけでなし、なんの役に立つわけでなし。と言って繁殖力はものすごく、畑に生えちゃほかの食べられる有用な植物に勝ってしまう。長い根っこが地面の下で伸びてどんどん増えるし、駆除しようとすれば強烈なトゲにさされて掴むこともままならず……そんなこんなニンゲンの鬱屈が重なって?ついた名前がズバリ”ワルナスビ”!! 悪いナスビ!!

名前を付けたのは、あの昨今話題の牧野富太郎博士。命名のいきさつを、エッセイに残しています。いわく、遠征に行って見つけたこの珍しい草を持ち帰って庭に植えたところ、すさまじい繁殖力で増えに増え隣の農地にまで蔓延ってしまうし、トゲも大変、始末におえない!(若干の意訳あり)

で、一度聞いたら忘れない!ってこの名前になったとか。たしかに、ネーミングのインパクト!!

まあそれはそう。夏の間あちこちで見かける繁殖力の強さ、見るからに痛そうなトゲトゲ、……悪そうですよね!! でも、くしゃくしゃっとした白~薄紫の花びらはちょっと綺麗だし、悪そうにも見えちゃうバナナみたいな雄しべは面白いし。道端で見ている分には、”悪くない”ナスビだと私は思いますけどね~。

畑に生えちゃうと困ったさんですが、街路樹の根本や植え込み、ちょっとした草地など、道端や公園などのあちこちで見つけることができますよ! バナナな雄しべをご確認あれ。

ワルナスビ(別名:オニナスビ)
分類ナス科 ナス属
花の時期6~10月ごろ
分布と生息地全国 / 道端、空き地、草地、公園、庭、河川敷
花の色・大きさ白~薄紫 / 2~3cm程度
花の形・特徴・ひらひらでクシャクシャっとした星形の花びら
・雄しべは5本。黄色いところが太くてバナナっぽい
茎や葉の特徴・高さは40~70cm程度
・葉の裏や茎に、恐ろしく鋭いトゲがある
・葉は縁が波打っている
その他の特徴・大変な繁殖力と、鋭いトゲのため、駆除が大変
・2~4cm程度の丸い実が成る

ワルナスビと似ている野草

イヌホオズキ

ナス