2枚のブルーの花びらが美しい。朝露に咲く草

ツユクサ科ツユクサ属の、夏の野草。

梅雨時ごろから、草地や道端に明るい花を咲かせだす野草です。
野生の花でこれだけ鮮やかな真っ青というのは、珍しいのではないでしょうか。パッと目を引くブルーの2枚の花びらと、糸のような雄しべの黄色が美しい花。
しかも朝に咲いて昼の早いうちにしぼんでしまう儚さのためでしょうか、古くから好まれて和歌などにも詠まれ、「月草」の名前で万葉集にも登場します。

さてさてこの花、見た目からして一筋縄では行かなそうな気配がしますが、案の定とても複雑な構造をしています。

まず花びら。「ブルーの2枚の花びら」と言いましたが、じつは花びらは3枚あります。上の青い2枚のほかに、下に、雄しべに隠れてこっそり白い小さな花びらがあるんです。そもそも、ちょっと下向きに咲いていますからね。持ち上げないと確認できないかもです。

さらには雄しべ。「糸のような雄しべの黄色」と言いましたが、じつは雄しべは3種類あります。黄色いのは花粉を出さない仮の雄しべで、下の飛び出している長い地味なヤツが本当の雄しべ。鮮やかな黄色で虫をおびき寄せて、まんまとやってきた虫に、飛び出している長い雄しべで後ろから花粉を付けるとか……つまりさっき「糸のような雄しべの黄色が美しい」と言ってしまった私は虫レベル……。

一体何を考えて、こんな複雑な構造にしたんでしょうね。何かと話をややこしくする人なんですかね。
ともあれ、綺麗です。綺麗だから、いいにします。

夏の日の長い時期ですよ? 日が昇ると咲きだして、昼頃にはしおれてしまいます。つまり、見ごろはとっても早い時間です。(夏も後半になると、もう少し長く咲いているようです)
なので、早起きして朝のうちに探してみてください。朝露に濡れる美しい青い花が見られたら、良い1日になりそうな予感!

ツユクサ
分類ツユクサ科 ツユクサ属
花の時期6~10月ごろ
分布と生息地全国 / 道端、空き地、草地、公園、庭、畑
花の色・大きさ青 / 花全体の大きさ2cm程度
花の形・特徴・花びらは3枚だが、下の1枚は小さいので2枚に見える
・上の2枚の花びらは鮮やかなブルーで、下の1枚は白くて小さい
・糸のような雄しべが垂れ下がる。上のほうの先が黄色い雄しべは、花粉を出さない仮の雄しべ
・下の2本の、長く垂れ下がっている雄しべが本当の雄しべ
茎や葉の特徴・高さは20~50cm程度
・葉は細長く先が尖った楕円形
その他の特徴・朝咲いて、半日ほどでしぼんでしまう

ツユクサと似ている野草

ムラサキツユクサ

トキワツユクサ