4月21日は、3月の東高円寺編に続き今年2回目の「道端の草を探す散歩会」。前回は都内の住宅地でしたが、今回は郊外編として多摩市を歩きました。

数日前から雨が心配されていましたが、どうにかまあ明るめの薄曇り。気温22度くらいと、暑くも寒くもなくちょうどいいお天気で、野草観察にはベストコンディションでした!
(快晴だと影が出来てしまって写真が撮りづらいし、曇りだと咲かない花があるので、この日は本当に良い日でした!)

京王・小田急線の永山駅から、大きな都立公園・桜ヶ丘公園を通って京王線の聖蹟桜ヶ丘まで。
多摩市は住宅地ながら、草地や農地、斜面を利用した緑地が点在する地域です。またほとんど山まるごと1個みたいな大きな桜ヶ丘公園から林縁や里山の草の種も飛んでくるのか、駅を出たところからいきなり山野草と言っていい部類の草も見られたりします。もちろん、都内と同じ道端のお馴染みさんも総出でお出迎え。

そんな草を見るには良い地域、しかも春らんまんの4月下旬なので、今回見た草を数えたら95種類にもなってしまいました(^^;;

これから覚える!という方にはハードな分量でしたが、お宝ざっくざっくで楽しめたかな……見た草の写真を載せておきますので、復習などにご利用ください!

なお、今回こそは見た草を全部撮ろうと(また!)カメラを提げて臨みましたが、おしゃべりしたり説明したりしてると撮ってるヒマないですねー! ほとんど撮れなかったので(また!)、今回も手持ちの画像です。当日見たのとちょっと違いますがご容赦をm(_ _)m

シソ科の仲間

1.ヒメオドリコソウ、2.ホトケノザ、3.トウバナ

お馴染みのヒメオドリコソウとホトケノザ。春最初に咲くお二方は、春も後半になってちょっと力が弱まってきました。ヒメオドリコソウはたくさん見かけましたが、ホトケノザは咲いているのは少なかったですね。

代わりに出てきたトウバナは、都内でも見かけることはありますが前の二つに比べると頻度が低いと思います。花はとても小さく5~6mmしかありませんが、シソ科の花らしく前の二つと似たような形をしています。

4.コバノタツナミ、5.キランソウ、6.カキドオシ

こちらは都会では少なめの3種類。コバノタツナミは園芸用に植えられることもあり、キランソウやカキドオシも大きな公園にはあるので、住宅地でもたまに見かけます。

菜の花の仲間

7.アブラナ、8.ムラサキハナナ、9.ナズナ(ぺんぺん草)

アブラナとムラサキハナナも3月からの続投です。ぼちぼち終わりごろかなと思いましたが、まだまだ元気な様子でした。

同じアブラナ科のナズナは、かなり花が少なくなってきて、三角形の実をたくさん付けた背の高い株が目立つようになってきました。でも、今回もたくさん見ましたね!

10.ミチタネツケバナ、11.タネツケバナ、12.イヌガラシ

ミチタネツケバナは3月の回では絶頂期でしたが、これもぼちぼち終わりごろ。お馴染みピーンピーンの細長い実ばかりをザクザク付けたものが多く、花は少なかったです。
前回はたぶんなかった仲間のタネツケバナ。外来種のミチタネツケバナに対し、こちらは在来種で、水辺や湿地に多い草です。同じような細長い実を付けますが、実が横に広がるのが特徴です。

ミチタネツケバナとタネツケバナは、花の形はそっくりですが「タネツケバナの方がキモチ大きい」「タネツケバナは花が咲くと根元の地面にへばりついた葉っぱ(根生葉と言います)がなくなる」などの違いが(ビミョウですが)あります。
と言ってもタネツケバナは前述の通り水辺に多いので、普通に歩いていて見かける頻度は「ミチ」の方が断然多いと思うんですが、永山の駅前にはなぜか両方一緒に見られる場所があります。日当たりが良くなくてジメジメしているせいかな??

イヌガラシは、タネツケバナと似たような形の花と種を付けますが、こちらは黄色くて葉っぱの形がだいぶ違います。ちゃらぽこの近くでも、街路樹の根本などでよく見かけます。

マメ科の仲間
13.シロツメクサ、14.ムラサキツメクサ(アカツメクサ)、15.コメツブツメクサ

続きましてはマメ科から、お馴染みのシロツメクサ、ムラサキツメクサ(アカツメクサ)。こちらは春遅めグループなので、3月はまだなかったと思います(葉っぱは見たかな?)。ムラサキツメクサは、花のすぐ下に葉っぱがあるのが特徴です。

黄色いのはコメツブツメクサ。小さな黄色い花が、シロツメクサと同じようにボール状に集まっていますが、シロツメよりだいぶミニミニサイズで5mmくらいしかありません。一つ一つはとても小さいんですが、一面に群生するので華やかになります。
似た花で、コメツブよりも大きめのクスダマツメクサもあるかなと思ったんですが、そちらは今回は見当たりませんでした。

16.カラスノエンドウ、17.スズメノエンドウ、18.カスマグサ

カラスノエンドウも3月の東高円寺でたくさん見ましたが、今回は花は先月よりは少なめで、実が目立ちました。この実が熟すと黒くなるのが「カラス」の名前の由来ですが、黒くなっている実はまだ見当たりませんでした。

カラスよりもかなり小型で白い花が咲くスズメノエンドウは、前回は見当たりませんでしたが(下見の時には見たので、咲いていなかったわけではないと思います)、今回はたくさん見られましたね。

スズメの方は小さくて目立たないのですが、どちらも同じような場所に群生するので、目立つカラスの周りを探すとスズメも見つかったりします。

カスマグサは、カラスノエンドウとスズメノエンドウが交雑したもので、中間くらいのサイズでごく薄っすらと紫色の花が咲きます。前の2種類ほどは見かけないので、今回は見つかってラッキー♪

マメ科じゃないけど……19.ヤセウツボ

マメ科の仲間じゃないんですが……。よくクローバーの仲間たちの群生地に一緒に立っているこちらは、ヤセウツボ。自分では光合成をせずに、主にマメ科の草たちの中に寄生して養分をもらう寄生植物です。葉緑素を持っていないので、こんな色です。

今回は、クローバーたちのほかにカラスノエンドウやスズメノエンドウの草地で見ました。

カタバミの仲間

20.カタバミ、21.オッタチカタバミ、22.アカカタバミ

この3種類は花も葉っぱもほとんど同じ形をしています。カタバミが横に広がるのに対して、オッタチカタバミは茎が上に伸びてツンツン立ち上がっています。都市部では、カタバミよりもオッタチの方がよく見かける気がします。アカカタバミは葉っぱが赤みがかっていて、花はカタバミよりもきもーち小さめ。
春遅めから初夏にかけてがメインなので、3月はまだ少なかったですが今回はたくさん見ました。

また、カタバミの仲間は日差しがないと花を閉じてしまうので、夜はもちろん曇りや雨の日は咲いているところが見られません。今回はお天気がビミョウだったので心配でしたが、無事に咲いてくれていました!

23.イモカタバミ

花も葉も形はカタバミと似ていますが、こちらは花の色が濃いピンクで花も葉もカタバミより大きめ。葉っぱは大きなものは手のひらサイズに近くなります。この色なので、とても華やかで目立ちます!

似ているムラサキカタバミ(イモカタバミよりも色は薄めでサイズは同じくらい)も見られるかと思ったのですが、今回のコースでは見かけませんでした。あちこちにあるんですけど、たまたまかな?

オオバコ科の仲間

24.オオイヌノフグリ、25.タチイヌノフグリ、26.コゴメイヌノフグリ

春の代名詞、オオイヌノフグリは春の早い時期からいち早く咲き出し、まだ元気です。日当たりの良い芝生などに多い草で、前回の東高円寺では大めの公園で見ましたが、多摩市は草地や畑が多いのであちこちで見られました。

少し遅れて咲き出すタチイヌノフグリは、1、2週間くらい前から見るようになりました。花はオオイヌフグリよりもかなり小さくて3~4mmくらいしかなく、葉に隠れるようにして咲くのであまり目立ちません。

白い花の咲くコゴメイヌノフグリは、近年増えだした草で、小石川植物園から逃げ出したのが広がっているという話ですが30km近く離れた多摩市でも群生しているのを見かけます。
こちらは3月初めくらいから今月前半までは「お花畑」くらいにいっぱいになっていましたが、終わってしまった場所もあり、この日は公園の中にちらほらくらいでした。

近くでは仲間のフラサバソウも見られるのですが、今回は見つかりませんでした。

この仲間も雨の日は咲かないのでこの日は心配でしたが、オオイヌ、タチイヌはしっかり咲いていました。コゴメが少なかったのとフラサバソウがなかったのは、お天気のせいか、それともぼちぼち季節が終わりごろなのか?

27.マツバウンラン

花の大きさは5mm弱で、これまた小さな花です。葉っぱが細いので「松葉」が名前についていますが、葉は下の方に少しついているだけで茎がひょろっと伸びて、なんとも細長い草です。
今回は、アパートの敷地の中でたくさん群生しているのを見ました。都会でも、街路樹の植え込みなどで見かけます。

前回の東高円寺では、これと花の形が似ていて葉っぱがツタに似ているツタバウンランも見かけました。どちらかというとツタバの方が花の季節も長く見かける頻度が高いので、今回もあるかと思ったのですが、これまた今回は見かけませんでした。

28.オオバコ、29.ヘラオオバコ

オオバコは、踏まれて広がる雑草の代表格。ですが、まち中ではヘラオオバコの方が見かける機会が多いような気がします。今回はオオバコは公園の土の道で、ヘラオオバコは道端のあちこちで見かけました。

ヘビイチゴの仲間

30.ヘビイチゴ、31.ヤブヘビイチゴ

どちらも道端にもある草ですが、今回は両方とも公園の芝生で見ました。湿った場所に多い草ということですが、わりと普通に住宅地の道端でも見かけます。
ヘビイチゴは、花は1cmちょっと、葉っぱも三つ葉の1枚1枚は1cmそこそこの小ぶりな草です。ヤブヘビイチゴは花もちょっと大きめですが、葉はかなり大きいです。また、5枚の花びらそれぞれの後ろに緑色のガク(副額片)がはみ出しているのがヘビイチゴとの違いです。

どちらも赤い丸いイチゴに似た実ができますが、まだ実はあまりありませんでしたね。

32.オヘビイチゴ

ヘビイチゴと似た種類のミツバツチグリが公園内で見られるかと思ったのですが、そこは通らなかった代わりに、「ヘビイチゴに似ているけどヘビイチゴじゃない!なんだなんだ!?」となった草。正解はオヘビイチゴでした。

花が綺麗に開いているのがなかったので写真がイマイチですが、花の見た目はヘビイチゴにそっくりです。葉っぱが三つ葉ではなくて5枚に分かれています(上の方の葉っぱはヘビイチゴと同じく三つ葉なので、惑わされます!)

こちらもまだ実は見当たりませんでしたが、ヘビイチゴとは違ってイチゴ的な実にはなりません。

ハコベの仲間

33.ハコベ、34.コハコベ

ハコベも春の早いうちから長い期間見かける草ですが、この日は花はちょっと少な目でした。どちらも1cm足らずの小さな花ですが、5枚の花びらのそれぞれに大きな切れ込みがあるので花びらは10枚に見えます。葉も茎も全体に緑のものを「ミドリハコベ」、茎が赤みがかったものを「コハコベ」と言いますが、違いは微妙なようです。

コハコベは畑の脇で、ハコベは植え込みで見ました。

35.ノミノツヅリ、36.オランダミミナグサ、37.ツメクサ

ハコベの仲間です。ノミノツヅリは道端のあちこちで見かける小さな草。花の大きさは5mmくらいしかありませんが、たくさん咲くのでわりと目立ちます。個人的には雑草界のカスミソウだと思ってます。

オランダミミナグサは、閉鎖花と言ってツボミのまま花を開かずに結実してしまうものがあります。春早めは咲いている花もよく見かけるんですが、この季節になるとあまり開いているところを見かけなくなるような気がします。今回も、草自体はたくさん見ましたが、花が咲いているのはほんの少しでしたね。

ツメクサは、道端のアスファルトのほんのちょっとした隙間に生える小さな草です。ゴールデンウィーク前後くらいにものすごく小さな花が咲きますが、あまりの雑草感にスルーされているかと思います。
気にしだすと、ものすごい!あります! この日も一度気づいた後は、「ツメクサ!ツメクサ!ここにもツメクサ!これもこれもこれもツメクサ!」と言いながら歩くことになりました。

なお、シロツメクサたちクローバーとは別の種類で、クローバーは荷物の緩衝材として使ったので「詰草」、こちらは葉が肉厚で鳥の爪に似ているので「爪草」が名の由来とのことです。

ケシ科の仲間

38.ナガミヒナゲシ

都会では憎まれっ子No.1の、超繁殖力旺盛なナガミヒナゲシさんです。遠目には可愛いんですけど、花の真ん中の子房とか、花の後の種とかかなり憎ったらしい感じになりますよね。花も葉っぱも可愛らしいのに、残念。「ケシ粒」みたいな小さな種が、ひとつの実に膨大に詰まっていてまき散らされるため、大繁殖するのが嫌われる最大の理由です。

前回の東高円寺ではツボミをたくさん見ましたが、今回はガッツリ咲きました。ただ、道端ではちょこちょこ見かけるんですけれど、大きな公園などの草地ではあまり見ない気がします。種が小さすぎて、ほかの草の元気な場所は苦手なのかな?

39.ムラサキケマン、40.ジロボウエンゴサク

どちらも山奥ほどではありませんが、里山や林縁に多い草です。桜ヶ丘公園の中には両方あります。ムラサキケマンの方は、まち中でも見ることがあり、多摩地区では公園から広がってくるのか道端の隙間に生えていることもあります。都内でも、植え込みなどで見かけたことがあります。
ジロボウエンゴサクはもう少し引っ込み思案かな? あまりまち中に出てきているのを見たことがありません。

イネ科、イグサ科の仲間

41.スズメノカタビラ、42.スズメノヤリ

これ花? 咲いてるの? となるイネ科やイグサ科の皆さんですが……。
スズメノカタビラは都会の道路の隙間なんかでもよく見かける草です。スズメノヤリは、それに比べると多少見かける頻度が落ちるような気もしますが、あちこちあります。

スズメノヤリの「槍」というのは、大名行列の先頭の人が持っているあの長いボンボンみたいので、ちょうどちゃらぽこで販売中の「猫海道五十三次・日本橋」トートバッグを持っていたので、「これこれ!」「おお~!」ってなりました。頭のボンボンが直径1cmくらいの「槍」の形で、小さいことを「スズメ」にたとえているようです。

この槍を持ったスズメの大名行列を想像して、みんなでホッコリ。

43.コバンソウ、44.カモガヤ、45.チガヤ

不思議なカタチですよね……いや、花なんですけど……これが熟すと薄茶色になって「小判」感が増すのでコバンソウ。カモガヤは、イネ科の花粉症の原因と言われる困った草です。どちらも道端、畑の脇みたいなところで見ました。

チガヤは道路の中央分離帯のちょっと広めのところで揺れてました。

まとめて載せてしまいましたが、スズメノヤリはイグサ科でほかはイネ科です。
あともう少し、イネ科の草があったような気がしますが、押さえていたのはこのくらい。

キク科の仲間

タンポポ的な草1。46.セイヨウタンポポ、47.ニホンタンポポ、48.シロバナタンポポ

いよいよタンポポ的な草に着手しまーす。タンポポ的な草って、似たようなのが無限にいろいろあるような気がして途方に暮れてしまいますが、実際にまち中で見かけるようなものはそれほど多くありません。せいぜい7~8種類で、意外と分かりやすい特徴があります。

今回は配布資料に、「タンポポ的な草の見分け方」チャートを載せてお配りしました。ちょっと改良していずれ公開したいと思います。

それでは、まずはズバリ・タンポポから。

セイヨウタンポポとニホンタンポポは、パッと見に大きな違いはありません。基本的にガクが反り返っているのがセイヨウタンポポ、ぴしっと花にくっついているのがニホンタンポポですが、交雑種などもあるので一概には言えないようです。なお、ニホンタンポポは春しか咲きません。

都会ではセイヨウタンポポが多く、今回も道端ではほぼセイヨウタンポポでしたが、公園の中はほとんどニホンタンポポでした。セイヨウタンポポはほかに競合がいない道端の環境には強いですが、ほかの草が強い草地にはあまり向かないようですね。

外側が白いのはシロバナタンポポ。西日本に多いと言いますが、公園内にはところどころあります。

タンポポ的な草2。49.ブタナ、50.オニタビラコ、51.ジシバリ(イワニガナ)

タンポポにそっくりですが、ひょろっと背の高いのがブタナです。タンポポは茎が途中で枝分かれせず、1本の茎の先に1つの花しか咲きませんが、ブタナは途中で枝分かれしているので、そこで見分けられます。

オニタビラコは、タンポポ的な草の中では道端で最もよく見かけるものではないでしょうか。1cm弱の小さな花が、茎の上の方にたくさん咲きます。株全体の見た目にいろんなバリエーションがあって迷うんですけれど、「まち中の道端にある」「1cm弱の小さな花がたくさん咲く」の2点をクリアしていたらとりあえずほぼオニタビラコだと思ってよいかと思います。

ジシバリ(イワニガナ)は、ほかのに比べると見かける機会はそれほど多くありません。
タンポポ的な草は茎が太くてがっしりしているものが多いんですが(花が大きめで重いのかな?)、ジシバリの茎はひょろんとしています。葉っぱの形もほかになくマルマルっとしています。今回は、たしかブロックの隙間で見ました。

似た草でオオジシバリというのがあるんですが、今回のコースでは見られませんでした。ジシバリとオオジシバリは葉っぱの形がはっきり違うので、ご安心ください。

タンポポ的な草3。52.ノゲシ、53.オニノゲシ、54.コウゾリナ

ノゲシとオニノゲシは、かなり難関です。図鑑通りの、極端に葉っぱがギザギザのなんかはオニノゲシだろうなと分かりやすいんですが、どっちつかずでちょっと迷うのが多くて……。とりあえず、葉っぱの縁がトゲトゲで、花の大きさが2cm(タンポポやブタナよりも小さくて、オニタビラコよりも大きい)くらいだったら、ノゲシかオニノゲシのどちらかです。
図鑑的に言うと、ノゲシのトゲトゲは触っても痛くなくて、オニノゲシのトゲトゲは痛い……って言っても、「痛いかなー痛くないかなー痛かったらヤダなー」と恐る恐る触ったら、どっちも別に痛くないです。ほかの草を見ようと思って手を伸ばしたところで意図せずうっかり触れてしまった……なんてなったら、オニノゲシなら痛いです。

痛いか痛くないかというより、葉っぱ自体が硬いか硬くないかを確認した方がいいかも。ノゲシはトゲトゲに見えますが、葉っぱは意外と柔らかいです。
どっちか迷うのはもう諦めて、「ノゲシかオニノゲシ」で良いんじゃないでしょうか!

ちなみにこの日も話題になったんですが、ノゲシとオニノゲシ(特にオニノゲシ!)、あんな凶悪そうな顔をしているけれど、綿毛の可愛さはタンポポ族イチです。この仲間は種はみんなタンポポ的な綿毛になるんですが、ノゲシたちの綿毛は子猫の産毛みたいにふわっふわで真っ白なんです。チェックしてみてください!

最後のコウゾリナは、花の大きさは2cmほどでノゲシと同じくらいです。上の方までたくさん枝分かれしていて、ペラっとした小さめの葉っぱが上の方までたくさんついているので、全体的な様子はほかのタンポポ的な草とだいぶ違います。茎に恐ろしくざらざらした剛毛があって、これがひげを剃った後みたいな感触なので「顔剃菜」というのが名前の由来です。
ジョリジョリした茎の触り心地(というか、見るからにざらざら)が特徴です。

タンポポ的じゃない方。55.ハルジオン、56.ペラペラヨメナ

タンポポの仲間はこのくらいで、あとはタンポポっぽくない方のキク科の仲間です。

ハルジオンは糸みたいな細い花びらが特徴。もうそこら中の道端にあります。もう少し遅い時期になると、花がそっくりなヒメジョオンが出てきますが、ハルジオンは春の花・ヒメジョオンは夏の花と少し季節がずれているので4月中だったらおおむねハルジオンだと思って良いかと思います。

花の形はハルジオンに似ていますが、ちょっと小ぶりで薄っぺらい感じのするペラペラヨメナ。同じ株に白とピンクの2色の花が付いているように見えますが、最初は白い花だったのが時間が経つとピンク色になるためです。
今回も用水路の縁で見ましたが、擁壁や、川の護岸に垂れ下がるようにして咲いているのを見かけます。

57.ノボロギク、58.ハキダメギク

ノボロギクは、ヒラヒラした花らしい花びら(舌状花と言います)がありません。なので、「咲いてる?ツボミ?」みたいなちょっともどかしい感じになりますが、これで咲いてます。
3月の東高円寺の時はかなり見かけましたが、今回は少な目で、小さな株が多かったです。

ハキダメギクは花の時期がとても長くて、どこでも咲いているので、年中あちこちで見かける草です。掃溜めで見つかったからハキダメギク……なんて不名誉な名前。可愛いのにね。まあ、可愛いんですけど、白い花びらがなんとなく寸足らずな感じで、可愛くなり切れない感じで。しょうがないかな……という気もします(ゴメン)。

59.ハハコグサ、60.チチコグサモドキ、61.ウラジロチチコグサ

道端でよく見かけるトリオ。ハハコグサは道端や畑の隅で、この日も何度も見ました。チチコグサモドキも名前がちょっと失礼な感じですが、今はチチコグサよりも見かける頻度が高いようです。(というか、チチコグサ見ませんね)
ウラジロチチコグサもかなりよく見かける草ですが、時期的にメインはもう少し後なのか、それとも都会の方が多いのか、この日はそれほど何度もは見ませんでした。

スミレの仲間

62.スミレ、63.アリアケスミレ

タンポポ的な草に負けず難関な、スミレファミリーです。これも、都会の道端で見かけるようなものは数種類抑えておけば大丈夫だと思うんですが、多摩あたりだともう少し候補が増えてくるのでやっかいです。

分かりやすそうなのだけ抑えておきましょう……。

何も付かない「ただのスミレ」は、葉っぱが長くて花は濃い紫色です。同じくまち中で見るスミレとしてはノジスミレが似ていますが、ノジスミレの方が季節が早く、「ただのスミレ」は春遅めに咲き出すので、この日はもう「ただのスミレ」ばかりになっていました。

スミレと花と葉っぱの形が似ていますが、花の色が白いのがアリアケスミレ。多少見かける頻度は落ちますが、都心でも見かけます。

64.タチツボスミレ、65.アメリカスミレサイシン

葉っぱがハート形のグループです。

タチツボスミレは道端のあちこちにあり花の時期も長いので、まち中で最も見かけるスミレではないかと思います。ハート形の葉っぱが可愛いです。草地や斜面などではよく群生しています。
全スミレシーズンを通して?くらいの勢いで、3月ごろから5月ごろまで咲いていますが、前半の方が活発なような気もします。

アメリカスミレサイシンは文字通り外来種で、全体的に大振りで葉っぱがテラテラしてます。白っぽいのと濃い紫のとあります。

スミレは細かく正確に見分けようとすると、「茎があるかないか」とか「距の太さが」とか「側弁に毛が」とかいろいろあるんですけれど、それはまた別の機会に、または実地で。

66.マルバスミレ、67.ニョイスミレ(ツボスミレ)

最後の二つは桜ヶ丘公園の中で見ました。都会ではそれほど見ないかなーと思うんですが、どうでしょう。

マルバスミレは丘陵地や林など、多少日差しの少ない場所が好きなようです。葉っぱはハート形ですが、丸みがあるのでマルバ。白い花が咲きます。

ニョイスミレ(ツボスミレ)は、花が1cmほどしかない小型の白いスミレです。スミレたちの中では遅めに咲くようで、今回は最盛期で公園中あちこちで咲いていました。湿ったところが好きということですが、水辺だけでなく、一見して湿っているか?みたいな場所にもあります。

そのほか

68.ハナニラ、69.アメリカフウロ、70.アカバナユウゲショウ

ハナニラ、可愛いですね、ハナニラ! 前回の東高円寺ではわんさか見ましたが、ぼちぼち終わりごろのようでそこまでたくさんはありませんでした。
道端にもよくあるんですが、お庭に生えても邪険にされないお得な草で、人家の庭や花壇の隅っこでも見かけます。

アメリカフウロは1cmくらいの小さな薄ピンク色の花です。この花すっごく可愛いんですけど、ものすごく茂って藪を作ってしまうところとか、花の後の実が恐ろしく可愛くないところとかでちょっと損してるかなと思います。

アカバナユウゲショウは濃いピンク色の華やかな花を咲かせますが、こちらも全体的な出で立ちが、なんとなく雑草っぽいような。

どれも花として可愛らしいですが、どんどん新しい綺麗な花が入ってくる中で園芸品種の地位を保つのは難しいですね。

71.ムラサキツユクサ、72.シラン

こちらも園芸品種が逃げ出して野生化しているもので、いえ、園芸用としてお庭に植えているおうちも多いと思うので、雑草と言っていいのかどうか分かりませんが……まあ、道端で見かけるので……もうそろそろ雑草になったかな……。(怒られるかな)

ムラサキツユクサもシランも、シーズンはこれからです。この日はどちらもツボミ(シランは1、2個咲いてたかな)でしたが、翌日くらいからぐんぐん咲き出しました。

73.ヤエムグラ、74.ハナヤエムグラ、75.ヨツバムグラ

ヤエムグラは、前回3月の東高円寺でもたくさん見ましたが、花はまだツボミが多かったです。が!1カ月くらいの間に咲いて終わってしまったのか、今回はほとんど実でした。花は2mmしかなくて小さい上に薄緑色で、なんとも目立ちませんが、道端でも公園でも林でもどこでも見かけました。

ヤエムグラに比べると少し珍しいかと思いますが、ピンク色の星形の可愛らしい花を咲かせるハナヤエムグラ。こちらも花が4mmくらいしかなくて小さいのですが、ヤエムグラよりも大きくて綺麗な色をしているのでやや目立ちます。というか、すっごい可愛いです。非の打ちどころのない可愛さで、全員メロメロでした(よね?)。

ヤエムグラもハナヤエムグラも葉っぱの形は似ていて、6枚くらいの細い葉が茎の周りに付きます。似ているけれど茎の周りに付く葉っぱが4枚の、ヨツバムグラは、ヤエムグラよりもさらに小さくて見つけるのに苦労します。この日は四つ葉の草を見かけましたが、花はまだ咲いていませんでした。

76.ヒメウズ、77.ホウチャクソウ

ユリ科の山野草です。

ヒメウズは、前回の東高円寺でも見かけました。小さくて線が細くて目立ちませんが、都会でもなくはないようです。今回のコースには群生地があって、100m近くに渡ってちらほら咲いている場所を通りました。

ホウチャクソウもどちらかというと林縁の草で、公園内にあるのですが、今回は道の脇の草地の斜面で見つけました。斜面を頑張ってよじ登って写真を撮りに行きました。けっこうアドベンチャー!

78.シャガ、79.ニワゼキショウ

アヤメ科の皆さんは、やっぱり見ごたえのある花が多いですね!

シャガはやや暗めの場所が好きなようで、林の中など木陰で群生しています。今回は公園の林の中で見ました。花の大きさが5cmくらいあるのがワーッとまとまって咲いているので、とっても華やかです。

ニワゼキショウは、時期的に少し早めのようでまだあまりありませんでした。道路の中央分離帯の先のほうに咲いているのを見ましたが、立ち止まれない場所だったのでよく見られず残念。まだこれからどんどん咲くと思うので、次回に期待です。

80.トキワハゼ、81.ムラサキサギゴケ、82.シロバナサギゴケ(サギゴケ)

トキワハゼとサギゴケも似た花ですが、トキワハゼはまち中でもしょっちゅう見かけるのに対し、サギゴケは芝生などに多く道端ではそれほど見かけません。

トキワハゼは季節が長く、道端の植え込みの中にちょこっと1つ2つだけ咲いていたりすることもあります。ムラサキサギゴケは、今回は公園の芝生で群生しているのを見ました。花はそっくりですが、ムラサキサギゴケの方がやや大きくて紫色が濃く、真ん中の黄色い点々が多いです。
白い花が咲くのはサギゴケとかシロバナサギゴケとか呼ばれています。こちらも公園の芝生で、ムラサキサギゴケの隣で群生していました。

83.キュウリグサ、84.ハナイバナ

キュウリグサとハナイバナも、花の形と大きさがよく似ていますね。どっちも3,4mmしかなくて、今回もみんなして撮るのに苦労しました! キュウリグサは水色の花びらに真ん中が黄色ですが、ハナイバナは全体が薄ーいブルーで、「モノクロのキュウリグサ」っていう感じです。

キュウリグサは道端のいたるところにありますが、ハナイバナはそれに比べると少し見かける頻度が落ちます。今回はハナイバナの方は、公園内と、公園の脇の道端で見ました。キュウリグサはもうそこら中に。

85.セリバヒエンソウ、86.イチリンソウ、87.ケキツネノボタン

いずれも公園の林の中で見たキンポウゲ科の皆さんです。

セリバヒエンソウは、葉っぱがセリに似ているから「セリ葉」、1cmちょっとの薄紫色の花はツバメが飛んでいるような形、ということで「飛燕草」。林や山野に多いようですが、都内の公園でも見かけたことがあります。

イチリンソウは公園の中でも保護区があって、大都会ではレアですね。(写真がイマイチですいません!)

ケキツネノボタンは、やはり公園内や里山で見ることが多いですがまち中でも見かけます。花の後にできる金平糖みたいな実が目印です。

88.ノヂシャ

ノヂシャは花の大きさ2mm程度、草丈も10cmから30cm程度という小さな草です。小さいけれど、花がたくさんつくのでそこそこ目立ちます。まち中でも見かけますが、都心よりは郊外で見ます。
今回は公園の中の芝生で群生しているのを見ましたが、近くでは柿畑の根本に広がっている場所があります。

欧米ではサラダ野菜として一般的だそうで、グリム童話の「ラプンツェル」に出てくるラプンツェル(日本語では「ちしゃ(レタス)」と訳されます)はこのノヂシャなんだとか。(ほかにも候補があるようですが)

89.ヤブジラミ

こちらも2mmくらいの小さな花です。これからがシーズンのヤブジラミ。数日前に下見をしたときには全然なかったのに、ここ数日で一気に増えました!

似た草に、セントウソウとヤブニンジンというのがあります。セントウソウは春の早い時期に咲き、同じような場所で次にヤブニンジンが咲きます。春後半から初夏にかけてがこのヤブジラミです。下見をした5日ほど前は、ヤブニンジンがほぼ同じ場所で咲いていたんです!(ヤブジラミも葉っぱはあったかもしれないけど……いやあったんだろうけど……)

入れ替わり、素早いですね!

なお、数日前にヤブニンジンを見たのは公園の林の中です。セントウソウやヤブニンジンは公園内の林の中がメインですが、ヤブジラミはもう少し活動的で、まち中の道端でも見かけます。

90.トウダイグサ

道路の中央分離帯で発見。信号2回分使って写真を撮りに行きました。

なんとも変わった草ですね。お皿みたいに見えるのが葉っぱのようなもので、お皿の中に載っているのが花のようなものなのですが、なんていうか……変わった草ですね。すごく多くはないかもしれませんが、まち中の道端でも見ることがあります。

91.スイバ、92.ギシギシ、93.ヒメツルソバ

タデ科の皆さんです。スイバは、ピンク色の小さな花が穂のように付きます。茎を噛むと酸っぱいのでスイバ。子供のころに噛んだーと思い出した皆さんが、噛みついたりしてました。
ギシギシも小さな花が穂のように付いて伸びますが、こちらは緑色。スイバよりも大型で、堅そう(噛みつく気になれない感じ!?)。ギシギシ、種類がたくさんあるので写真のと違ったらすいません。

スイバは土手や河川敷などに多いということですが、どちらも道端でよく見かけます。

スイバやギシギシは大型でひょろ長い草ですが、ヒメツルソバは直径1cm程度の丸いボンボンみたいな花。川の護岸や塀や石垣から垂れ下がっていることが多いですが、道端のあちこちにあります。グラウンドカバーとして園芸用に導入されたのが野生化したもので、花の時期が大変長いのでほぼ1年中見られます。もはや空気。

94.エビネ、95.キンラン

最後となりました、締めを飾ってもらうのは、多摩まで行った甲斐があった!?この山野草。

エビネは、桜ヶ丘公園の野草園の奥に、名札もつけずにこっそり咲いてました。人為的に植えられたものかと思われますが、まあここらへんで見られる(かもしれない)山野草ということで。町田にえびね園がありますが、自生しているのを見つけるのは難しいようですね。

キンランは、数日前に下見をした時はまだ茎と葉っぱが伸びてきた感じでこの日に間に合うかどうか……だったのですが、見事に咲いていてくれました! ありがとう!!

キンランは明るい林の中にいて、クヌギやコナラと言った木の根に共生している菌から栄養をもらっているため、環境が変わると枯れてしまいます。散歩会でも城跡だとか大きめの公園だとか、自然環境が残っている場所で時々見かけているので、ものすごく珍しいというほどではないのですが、生育環境が減っているため絶滅危惧種になっているということ。見た目がとても可愛いので、盗掘されやすい(でもお庭に植えられても枯れてしまう)のも理由のようです。大事に守っていきたいですね。

ちなみにこの翌日、近くでギンラン(キンランに似ていて花が白く少し小型)も見つけてショック! いつもキンランの方がちょっとだけ早いのですが、そのキンランが昨日今日に咲きだしたばかりなのでギンランはまだだと思って油断していました。当日にはなかったと思うんですけれど……1日早く見たかった! 来年また来ましょう!

というわけで、4月21日に見つけた草を一挙ご紹介しました。
自分でも本当に全部書くとは思いませんでしたが、最後まで気長に読んでくださった方ありがとうございます。

次回はゴールデンウィーク5月3日金曜日の祝日に、皇居東御苑を中心とした都心で草を探す散歩会を開催します。都心は自然が少な目ではありますが、皇居ほどの大きな緑地があるので今回と似たような草はわりと結構見られると思います。

季節もちょっとだけずれて、また違う草も見られることでしょう。

草に詳しくなくてOKです。「草の名前をちょっとだけ覚えたい」「都会にどのくらいの草があるのか見てみたい」というビギナーさんも、ぜひぜひご参加くださいね!