可愛い厄介者。本当は有能なんですが……

ドクダミ科ドクダミ属の、初夏の野草。

ゴールデンウィーク前後からじわじわと姿を見せ始め、梅雨時までよく目にする……道端や空地、線路端でもちょっとした藪でも草地でも、やたらと見かける、アレです!

4花弁に見える白い花(本当は、そこは花びらでなく葉が変形した苞葉と呼ばれる部分なんですが)が一面に咲いていると、白い小花柄みたいで可愛い……んですが。近づいてみると、その白い花(苞葉です!)の中に何やら憎たらしい感じの黄色い長いヤツが……。

この黄色い長いヤツこそがこの草の「花」なんですけれど、なんだか可愛くないんですよねー。苞葉の部分だけの「白い花」だったら、もうちょっとみんなに愛されたんじゃ……と、残念な気持ちになります。
はい。結構厄介がられている草ですよね。何しろ繁殖力が強いから、庭などに生えるとかなり手ごわい。ほかの園芸品種を迫害してしまうので。線路脇なんかに群生しているのはそんなに害はないかもしれませんが、「花」が可愛くないから有難みもない。

なんとも、なんとも惜しい草です。
(真ん中に太い長いヤツがある花って、軒並みそれで失敗してるような気がします。ナガミヒナゲシとか。まあ、人間に気に入られるかどうかという点で、ですけど)

そんなドクダミさんですが、じつはジュウヤク(十薬=十種類の薬効)という異名も持ち昔から薬草として使われてきた草です。ドクと名前についていますが、実態は薬。名前の由来については、「毒痛み」に効くからという説、毒を抑制する意味で「毒矯め(どくため)」という説など諸説ありますが、薬効を意識されてきた草のようですね。

といってこの草を薬として使うには、収穫して洗って粉砕して洗って干して……?細かい工程はよく分かりませんが、たぶん薬を買ってきた方が早いハズ! 薬としての効用よりも、雑草としての厄介さで嫌われてしまうのは、まあ仕方ない……かな。

ちなみに八重咲(と言っても八重になっているのは花びらではなくて苞葉なんですが)のドクダミもあって、普通のドクダミに比べると少ないですがそこそこ見かける機会があります。こちらは真ん中の太い長いヤツがあんまり目立たず、きちんと綺麗な花! 見つけるとちょっと嬉しいです♪

ドクダミ(別名:ジュウヤク、ドクダメ)
分類ドクダミ科 ドクダミ属
花の時期5~7月ごろ
分布と生息地本州~沖縄 / 道端、空地、公園、庭、土手、線路端、藪(日陰にも強い)
花の色・大きさ白(白い苞葉が目立つ。本当の花は中の黄色い部分) / 花の長さは1~3cm
花の形・特徴・白い花に見える部分は、じつは苞葉と言って葉が変化した部分。真ん中の柱状の黄色い長い部分が花
・八重咲もある
茎や葉の特徴・高さは20~60cm程度
・葉はハート形
・葉と茎が赤みを帯びる
その他の特徴・薬草として効用がある
・繁殖力がとても強く、空地や線路端などに群生する

ドクダミと似ている野草

特になし